海行かば…大君の邊にこそ死なめ かえりみせはじ

打ち寄せる西欧文明の荒波に、温かい和の原理によって築いた江戸文化をかなぐり捨て 冷たい競いの原理が支配する西欧文明をのみ込んでゆく悲愴とも言える明治の軌跡はまだ新しい。 勃興する工業力とナショナリズムの巨大なうねりを見事に調和し、偉大な成果をもたらした明治の巨星。 よく敵を知り己を知って指導した巨星の智恵は今も、道標として光り輝いている。

岩崎弥太郎

土佐に寄せ来る黒潮の息吹が化身したのであろうか。翁の咲かせた三菱は、あたかも黒潮の如く温かく たくましく、 悠々と太平をめぐり、世界をあまねく、うるほしてゆく。

福沢諭吉翁

天は人の上に人をつくらず 人の下に人をつくらず 維新の開幕を告げる砲声響く中、義塾を開いた翁は、永遠なる真実人間の尊厳を厚いことばで啓蒙してゆく。

板垣退助公

板垣死すとも自由は死せず 陣頭に立って維新を切り拓いた公は、自由民権の思想に徇じ、言魂となって自由の真理を照らしてゆく。

安田善次郎翁

人生の限りなき可能性を太閤記によって触発された翁は、金融事業を興し 天下一の道を拓いてゆく。翁の魂は 太閤と同根かも知れない。

渋沢栄一翁

商工業の振興に偉大な成果を挙げた翁の秘訣が、論語の信頼と物語の実行にあったという。倫理の道を生きた翁は、孔子の生まれ替わりかもしれない。

東郷平八郎

敵艦見ゆ、天気晴朗なれども波高し 必勝の信念を胸に 三笠の艦頭に悠然と立ち、国難を粉砕する元師の英姿を日本海の波涛も忘れまい。

伊藤博文公

逆巻く維新の激流が、公によって見事に調整され、東洋唯一の近代国家が現れてくる。来るもの全てを受容して、道を拓かれた公の光は、経世の道標として永遠に輝いてゆく。

岡倉天心

西欧文化の奔流に、美意識崩壊の危機を感じた天心は、天才達を集め、自然心による伝統美術の改革を指導し、誇りある和魂洋才の道を示してゆく。

大隈重信公

議会政治の理想に炎え、最初の政党内閣総理となった公は、 学問の必要を痛感し、早稲田の森に熱き夢を託してゆく。

島崎藤村

遂に、新しき詩歌の時は来りぬ 新しき言葉は すなはち新しき生涯なり 藤村からほとばしる炎の詩に 新しい文学の芽が萌え立ってくる。