人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻のあひだなり

足利幕府の権威失墜に世は戦のるつぼと化し、生死を賭して自由競争から、 偉大な英雄が輩出してくる。 常に理念を磨き、富国を計り、戦略を練り、戦術を改革し、 死をもいとわぬ強い組織へ心を砕き、 戦にのぞめば旗印に理念をかかげ鬼神の如き、決断で勝利に導く。 生を超えて育んだ戦国の英雄の偉大な精神は、今も民族に息づき、ふれる人を熱くせずにはおかない。

斉藤道三

一介の僧に過ぎなかった道三が、美濃の国主にまで出世したのは偉大な志の為せる業であろう。自ら予言せぬ如く、その大志は信長公に受け継がれ 天下布武を実現してゆく。

毛利元就公

勝利の道理を鮮やかに描き切った公の信念は、厳島に於いて大敵を見事に粉砕してゆく。三本の矢で 団結と平和の道理を示した公は今も繁栄の道を照らす光である。

武田信玄公

風林火山の旗の下 中世に於ける戦の究極を見せた名将信玄公は、甲州金や信玄堤が示すが如く、治国経世の明君でもあり、公の知恵は徳川の治世を照らしてゆく。

上杉謙信公

毘沙門天の神旗をかかげ、天に替わって不義を撃つ、正義の英雄謙信公は、厳しい戒律を自己に求め、無私を神前に誓う清冽な武人であった。天下一の用兵の妙も、公が毘神の現われと信仰されたゆえであろう。

織田信長公

天下布武、高い理念の実現を宣言し、鬼神となって戦乱の中世を葬り 平和の道を拓かれた偉大な公の夢は、楽市楽座や岐阜の名が示す如く、人や物が天下を自由に往来する繁栄国の実現にあった。

豊臣秀吉

天下布武の理念を受け継ぎ、太陽の様にわくわく、千成りのように賑やかに、藤吉郎は人望を集め、空前の出世に突き進んでゆく。庶民から出自した大きな肯定の精神の軌跡は、太閤記となり 天下の夢を今も育んでいる。

太田道灌

軍畧に秀れ、江戸城を築いたロマンの名将道灌は、民家の娘に雨具を所望して、山吹を差し出されその意を知った歌人でもあった。

北条早雲

民政を正さんと、大志に燃える麒麟児早雲は、身一つから相模に国づくりを始めてゆく。早雲が説く経世の道理は、相模から関東一円を鎮め、北条五代の反映の光となった。

徳川家康公

欣求浄土 穢土必離、崇高な理念の実現を期す家康公の強い信念は、同志の英雄と固く結ばれ、太平の世を現してくる。 天下分目の関が原の戦にも、己を捨て天に問う公の無私の精神が輝いている。

伊達政宗公

少年馬上に過ぐ 天下人を夢見て、戦に、男伊達に、ローマに、そして詩に見事な足跡を残した独眼竜の昇天を拒んだものは、太平の時勢以外の何者でもあるまい。